スコリオメーターの数値が5°未満であれば、一般に低いと考えられます。7°は、多くの検診の仕組みが医療機関への紹介の目安としている値です。これらは検診のための目安であり、診断でも、背骨の弯曲そのものを表す数値でもありません。

スコリオメーターが記録するのは体幹の回旋角度(ATR)、つまり前屈したときに体幹の片側がもう片側よりどれだけ持ち上がるかです。背骨そのものではなく背中の体表で回旋を測っているため、この数値は背骨の状態を言い表すものではなく、さらに詳しく調べる価値があるかどうかの手がかりとして受け取るのが適切です。
| 数値 | 一般的な受け取り方 | 通常の次の一歩 |
|---|---|---|
| 0°〜4° | 低い。わずかな左右差は一般の人にもよく見られます | 特に成長期は、定期的な測定を続けます |
| 5°〜6° | 注意して見ておく範囲。弯曲が見えにくい肥満傾向の子どもでは、この範囲が受診の目安になります | 慎重に測り直し、専門家の評価を検討します |
| 7°以上 | 検診の仕組みで広く受け入れられている紹介の目安 | 専門家の評価を受けます |
| 2°以上の増加 | 絶対値にかかわらず、進行のサイン | 専門家の評価を受けます |
検診の目安は、つねに兼ね合いの産物です。線を低くしすぎれば、必要のない画像検査に多くの健康な子どもが送られます。高くしすぎれば、早く手を打てば違ったはずの弯曲を見逃します。7°前後は、多くの検診の仕組みが実務的な釣り合いとして落ち着いた値です。弯曲が隠れやすい肥満傾向の子どもには5°が用いられます。個々の仕組みや医師によって、やや異なる値が使われることもあり、結果は年齢、骨成熟度、弯曲のタイプ、測り方の一貫性によって変わります。
一回の測定はその瞬間の記録にすぎません。同じ人が同じ方法で、一定の間隔をあけて積み重ねた測定のほうが、はるかに多くを語ります。数か月かけてATRが少しずつ上がっていれば、一回ごとの数値がまだ小さく見えても意味があります。一度だけ跳ね上がってすぐ元に戻る数値は、変化よりも測り方を反映している可能性が高いといえます。日付、測った部位、測った人を記録しておく数秒の手間に価値があるのは、このためです。測り方についてはスコリオメーターの使い方をご覧ください。
子どもや思春期の場合、心配なのは成長にともなう進行です。そのため測定はより頻繁に——成長期には2〜4週間ごとが目安——繰り返され、上昇傾向があれば早めに対応します。大人では骨の成長が終わっており、変化は成長ではなく加齢による要因で進むため、通常は月に一度の測定で十分です。数値とあわせて症状にも目を向けます。いずれの場合も、上の紹介の目安は専門家と話をはじめるための出発点であり、専門家の診察に代わるものではありません。
国が定めた数値基準はありません。文部科学省の技術的基準は、肩の高さ、肩甲骨の高さと位置、体の脇線の左右差を観察し、前屈させて背部・腰部の左右の高さの差を見る、という記述にとどまり、角度のしきい値もスコリオメーターの記載もありません。数値が出てくるのは地域単位の取り組みです。静岡県医師会の指針は前屈時に水平から5°以上傾いている場合に側弯症の疑いが強いとしており、モアレを用いる自治体ではシングルカーブ1.5縞以上、機器によっては隆起差10mm以上といった基準が使われています。いずれも全国基準ではありません。
全国共通の数値がない以上、参考になるのは国際的な範囲です。多くの研究は5°から7°を調べる価値が出てくる範囲としており、本ガイドでは7°を専門家の意見を求めるべき値として扱っています。ただし日本の制度を踏まえると、単発の数値よりも変化のほうが重要です。学校検診は年に一度。その間に2回、3回と日付つきで測っておけば、増えているのか横ばいなのかが分かります。
数値が紹介の目安に達したとき、測定を重ねるごとに値が上がっているとき、あるいは肩の高さの左右差、肩甲骨の突出、ウエストラインの左右差、前屈したときに見える肋骨隆起に気づいたときは、評価を受けてください。経過や適切な対応は人によって異なります。ある人にとってその数値が何を意味するのかを明らかにする方法は、専門家の診察です。
参考文献:van West HM, Herfkens J, Rutges JPHJ, et al. The smartphone as a tool to screen for scoliosis, applicable by everyone. European Spine Journal 2022;31:990–995. この研究は、スマートフォンによるATR検診を手法として評価したものであり、特定のアプリを評価したものではありません。